AP通信と「情報権力者」

承前で最近物議を醸しているAP通信の話もちょっと。

AP通信が何をどうしたがっているかについては
 → 「ニュース集約サイトは著作権侵害」:マードック氏の批判とAPの戦略(WIRED VISION) 4/8/09 日経BP
 → AP通信がニュース・コンテンツ保護の取り組み,無許可サイトには法的措置 4/7/09 日経BP
といったあたりをまず観て頂ければよいかと思いますが、これだと何がどう問題だかわかりにくいので、本件でずっと怒り心頭のTechCrunch(というかMichael Arringtonか)の記事も観て頂くのがよいかと思います。
まあ、一方聞いて沙汰するな、とはいうものの、リンクを張ったり引用するなということなので、APへのリンクは止めます:P
 → Web上のニュース警察になろうとするA.P.とその背後の問題点 4/6/09 TechCrunch
 → APがまたしても「フェアユース」の勝手解釈をしている。オバマポスターのShepard Faireyの著作権侵害を主張中 2/5/09 TechCrunch
 → ホットニュース:APは前世紀に生きている 2/22/09 TechCrunch
 → AP通信が私の著作権を侵害した。公正を求める。 6/19/09 TechCrunch
 → AP対ブロガーの引用ルールをめぐる論争が旧大陸に飛び火 6/19/08 TechCrunch

APは引用やリンクを認めず直接サイトに来てもらって広告収入を得るか、リンク・引用にお金を払ってもらおうということでしょうしこれ自体はよく理解できますが(後述するように自分の首を絞めるだけだと思いますけど)、問題は、つまるところ、自分たちは他のサイトやメールを引用をするのに他人のそれは一切認めないというフェアユースやインターネットの標準的なルールに従っていない、ある種のジャイアニズムの発現にあるということのようです。

普通に考えれば、APのやろうとしていることは情報コストの上昇につながるわけで、同等の(あるいは若干劣っていても)情報を供給する先が現れれば、多くの情報需要者がそちらに流れるてAPは自分の首を絞めるだけのことになるでしょう。経済学的にも経営理論的にも。

にもかかわらず、APがリンクや引用を禁止しようとしたり、自分は他者をリンクしたり引用したり、という行動に出るのは、自身が独占的なドミナントポジションにあると理解しているから、と推測しますが、それは私の目には情報について独占性を有している状況の下で、著作権の権利者としてではなく、著作権の権力者として振舞おうとしているように映ります。

情報の権力者ってのは、容易に思想の権力者に変容しうるわけで、APのやり方がTechCrunchの報ずる通りで、APの意識が私の推測する通りであるならば、その胡乱さと危険性を意識せざるを得ないように思います。

まあ、払うもの払えば色の付いてない情報を出すよ、という状況に留まるならいいのですが、取捨選択の出来ない程度まで情報を独占していて、色を付けられてもわからない、ということになるとかなりマズイです。

と、ここで先のモルドバとtwitterとドロモロジーとミームの話がつながるわけですが、APや他のマスの情報供給者に対して、引用やリンクをベースとしたCGM/UGCだけではない、user generated informationとでも呼ぶべき、ユーザ自身がプライマリソースを持つ状況すら生み出しつつあるtwitterをはじめとする各サービスにはものすごく期待しています。
 # 中国政府がtwitterを禁止していれば本物ですね:P

そしてそれはできれば資本関係が多様であった方が望ましいわけで、だから、個人的には、GoogleがDiggやTwitterやtumblrを買収していない状況に希望を見出している次第です。

モルドバの学生デモとtwitter、ヴィリリオのドロモロジー、ミーム

ムンバイのテロをどんなメディアよりも間近に伝えたtwitter、ついに革命の原動力にまで発展するような勢いです。
 → モルドバの学生たちの抗議活動がTwitter革命に変わりつつある

表立って伝わってくるニュースは色々ありますが、とりあえず日経の記事ではこのあたりですね。
 → モルドバ議会選、親ロ派勝利 与党共産党が過半数確保
 → モルドバで野党支持者ら暴徒化 議会選に反発、大統領府突入

つまるところ、総選挙で共産党が勝ったんですが、選挙に不正があったとして野党支持派が抗議、デモから暴動、ひょっとすると革命に発展するかも、という状況の中、学生がデモへの参加をtwitterで呼びかけている、という状況ですかね。
ここ数日、twitterのtimelineでやたらとハッシュタグで#pmanとか#moldovaとかを見かけていたのはこのことだったのか、と改めて認識した次第です。

「テレビの、これから」についての夏野さんのコメント

日経のIT PLUSに「テレビの、これから」について夏野さんのコメントが出てますね。
 → NHKの討論番組で驚いたネットに対する認識不足

丁寧に意見がまとめられていてよいですね。流石です。

先週の放送業界を巡る話〜「テレビの、これから」と地デジ移行補助金の話

とある通信会社の放送メディア関連を担当されてる方から、3月21日のNHK観ました?あれは観るべきですよ、ということで、「テレビの、これから」という番組のご紹介を受けました。

私の場合はここ数年は高校野球とNHK教育くらいしか観るというか地上波を流していることはないので、当然観ておらず、そして、再放送とか探したところでこの手のは詮無い結果になるわけで、結局観れてません。
 # いちおうNHKオンデマンドもチェックしましたけど、民放の一線級の人たちが多数出てる番組なんぞ権利処理されてるべくもなく(たぶん)・・・

で、どういう内容だったかをあちこちのブログで読んでみましたけど、おそらく最も詳しいのが、★てれびまにあさんの★NHKの制作者×視聴者討論番組「テレビの、これから」”騒音おばさん”の話題も飛び出すでしょうか。
あと、POLAR BEAR BLOGさんの「テレビの、これから」の中でテレビ関係者側にノスタルジーを感じた件では、コンサルの方だけあって、眺めてる視点が参考になりました。

夏野さんはニコ動のこともあってか、VOD寄りの発言が多かったようですが、他のTV業界の方ってやはりまだ「プライムなメディアとしてのTV」「茶の間=共通体験の土台」という長年守られてきた地位が脅かされつつあることに実感湧いてないのかなあ、という感じですかねえ。
 # ちょっと前のエントリのままの話です。
まあ、視聴率はF2、F3、M3が支えてるし、この辺は人口も所得も貯蓄も多い層なので、その辺押さえているうちは確かに怯える必要はないのかもしれません。

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というような話の前後で、景気対策で地デジ移行促進を、という話も持ち上がってるわけですけど、25日にITでの景気対策がまとめられて、とりあえずは例の地デジ買い替え補助金2万円の話はなくなったようですね。

地デジ移行補助の是非についてはアナログ停波後の700-800MHz帯の使途を思えば、否定一辺倒にはなりにくいとはいえ、一納税者・一移動体通信サービス利用者としては、そこを補助するならバーターで電波使用料のバランスをどうにかしてほしいとも思います。

と思ってたら、これに関連して、移行補助どころか民放連からそれなりの働きかけがあったようですね。
 → 「チューナーではなく地デジテレビの無償配布を」--政府の地デジ普及策に民放連が提案
 → 「景気対策として260万件にデジタルテレビ支給を」,民放連の広瀬会長

麻生政権のバラ撒きを批判しておいてバラ撒きを提言という自己矛盾は笑い話としても、地上波のデジタル化は旧郵政省のゴリ押しがあったとはいえ、民放も設備関連の税制なり電波料なりで既に優遇受けている上に、チューナーやTVに対してさらなる補助が必要、と自らが訴えている状況にあるわけで、これはとりもなおさず、実需が乏しい、もしくは需要と供給がミートしないプライシングになっている、という状況を示しているような気がします。

ある意味、政府の補助がないと生き延びられない産業は相当な構造不況産業か衰退産業、って感じですけど、さらにいえば、クリステンセンの破壊的イノベーションとかを持ち出すなら、

 雑誌・新聞 vs ネット (主にテキストと画像をベースにしたメディアって話)
 PSTN vs SkypeなどVoIP (音声通信)
 CD vs 着うた、iTMS (音楽・・・Amazonも入れた議論は教科書にも使えそう)
 TV vs YouTubeとかニコ動とかJoost (こっちは動画メディアとコンテンツ流通)

てな感じだというのを前提とすると、そもそも、放送局のコンテンツを作り、流通するためのコスト構造が対ネットで高く、特に日本の場合は産業構造的に、競争が働きにくい寡占的な構造やバリューチェーンが更にあるとすれば、地デジが更に状況を悪化させているんじゃ?という風にもいえる気がします。

地デジに関するそもそも論で、衛星かファイバでいいんじゃないの?というのがあったと思いますが、まあ、その、景気対策が特定の1社2社を利するようでは非常にマズイというのはわかりますが、国全体としてのインフラの最適化を考え・・・・るにはもう遅すぎるんでしょうか。

総務省「子どもの携帯電話等の利用に関する調査」

昔、魔法のiランドが出した『ケータイ文化白書』のような調査だよなあ、とまずは思ってしまいましたが(笑

 →「子どもの携帯電話等の利用に関する調査」の結果(速報)について

この調査とはあまり関係ないんですが、青少年のケータイの利用の是非、ってどういう価値基準で判断されるんでしょうね。世間一般的に。

ちょっと前ならTVゲーム、さらに前ならTV、どれもこれも世間一般的に「青少年にはよろしくない」ツールやメディアだったはずですけど、「よろしくない」状態から脱却したと認識できるのか、だとすれば、変質したのは何時頃、どういうキッカケだったのか、その辺が明確ならばケータイの利用に関しても何がしかの指針は持ちえたような気がします。

世間一般的に(しつこいw)、仮にTVがOKで、ゲームやケータイがダメなんだとして、その差が家族間の団欒やコミュニケーションを奪っているかどうかに拠るのであれば、話題・価値観・時間の共有の有無ってことでしょうかね。
でもそれだとTVとTV以外のメディアというかコンテンツ流通チャネルを峻別することは難しくないですかねえ。TVで出来てるとも思えないし、ゲームやケータイで出来ないとも思えないし。

会話であるかテキストであるかまで踏み込むなら、それこそメディアが何であるかは関係ないですよね。TV見ながらその内容についてケータイでやりとりするとか、実況とかあるわけですし。
逆にゲーム画面で家族団欒?も普通にありそうですし。

ケータイももうちょっと何とかできるんじゃないかなあとか淡い期待を持つ次第です。

ワンセグとオリンピック

iPhoneに関しては無条件に肯定的ではないんですが、その価値がネットワークとアプリにあるとすれば、やはりワンセグとfelicaがついてないという批評は的外れな気がいたします。
訴求するセグメント違いますよね。

さて、そのワンセグも本当にiPhoneを貶すほどに"必要不可欠"なのかっていう記事です。
 → オリンピックをワンセグで見た人は約20%――五輪開催時のケータイ利用動向

とはいえ、徐々に普及率が上がっているのは間違いのないところで。
 → ワンセグ、おサイフケータイの利用率、この1年でほぼ倍増〜MMD研究所調べ

岸先生の放送ネタ

岸先生、快調に飛ばしてます。
ここまで舌鋒鋭くマス向けに書けるというのも凄いなあと思います。
 → もはや「融合」は時代遅れ・下り坂のテレビ局が取り組むべきこと

毎日新聞と情報統制 (旧題:新聞とネットと広告)

佐々木さんのブログの続きが出ていました。
 → 毎日新聞社内で何が起きているのか(下)

以前、TechCrunchのEnd Of Controlのエントリを紹介しましたが、日本のメディアが思想のフローすらコントロールしようとしていたのだとしたら(大いにその可能性はあると思いますが)、情報のフローや可処分時間のフローのみならず思想のフローすらもout of controlになりつつある、そのことがいわゆる日本のマスコミの焦りの本質なのではないかと思います。
逆に情報戦で負ける可能性があるという意識がないとしたら、それはそれで興味深い現象です。

というわけでリンクしておきます。
 → End Of Control
 → FacebookのEnd Of Controlのコミュニティ

ヴィリリオ風にいえば権力の情報速度を民衆の情報速度が超えつつあるとかそんなこといいそうですけど、
# マルキシズムのフレームワークを使うのはどうかって話もありますがw
デジタイズされていない情報やら、一次情報の流通の仲介に自由度が低いやら、まだそんなにすぐ変化があるわけではなさそうではあります。


------------------(以下8/6のエントリ)------------------
毎日新聞問題、佐々木さんが書いてるのでリンクしておきます。
 → 毎日新聞社内で何が起きているのか(上)

情報でメシ食ってるなら情報弱者にならない努力はしなくちゃ、というか、どう情報武装しておくかは常に考え続けなければな、などと改めて思います。
------------------(以上8/6のエントリ)------------------

やはりiPhoneはMID扱いかなあ

ComScoreから。3.5Gの世界ではないので当たり前といえば当たり前な気もしますが。
 → Comscore M: METRICS: 80 percent of iPhone Users in France, Germany and the UK Browse the Mobile Web

TVとジェネレーション

細かいことを抜きにして類型化すると喜ぶのはマスメディア、批判するのは学識者、黙って去っていくのは在野の有識者、だなんて思いつつ、TVと世代って確実につながってるなあとか思ったり思わなかったり。50年経つと若い人はネットを使わない、ネットユーザの平均年齢は(ry みたいな話になるかも、ですね。この場合のネットはIPv4なのかv6なのかネットの総称なのか、技術の面+文化(メディア、報道)の面で色々考える余地はありそうですが。
# てか、5年経つと若い人はSNSを使わない、とかありそうな気もします

 → 若い人はテレビを見ない、米5大ネットワークの視聴者の平均年齢は50歳台を突破


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